更年期に不足がちな神経伝達物質
イライラしたり落ち込んだりするのは脳内の異変であることがわかりました。(前回記事「前よりも怒りっぽくなったらそれは更年期の自然現象」参照)
更年期特有のホルモンバランスが影響していて、時期がくれば自然に落ち着いてくるものなので、焦ることはありません。
でも、そうは言っても日々仕事に家事に追われる身。
できれば心穏やかに過ごしたいものですね。
イライラや落ち込みのモトとなっている「神経伝達物質」、これは食べ物で不足分を補うことができます。またにおいからの刺激で神経伝達を促すことも可能です。
主な神経伝達物質 | |
興奮系伝達物質 | ・アセチルコリン→思考力UP、女性ホルモン刺激 ・ドーパミン ・ノルアドレナリン ・アドレナリン ・グルタミン酸 |
調整系伝達物質 | ・セロトニン→興奮を抑える、気持ちが落ち着く |
抑制系伝達物質 | ・GABA→ドーパミンを抑える、リラックス、記憶力UP ・グリシン |
(参考文献:ワニブックス「アンチエイジングの鬼プレミアム」 他)
アセチルコリン
論理的思考や記憶などの思考プロセスに関わる神経伝達物質です。自律神経の副交感神経を刺激して脈拍を遅くしたり、唾液を促したり、骨格筋や心筋の収縮も促進。
アセチルコリンは体内で合成されますが、老化とともに合成する能力が落ちていきます。間脳にアセチルコリンが増えると、女性ホルモンを出す指令が正しく行われるので、更年期の不調にはとても有効です。
【アセチルコリンを増やす方法】
・大豆レシチン…アセチルコリンの原料となる。サプリで摂取可能。
・1日にグラス2杯のリンゴジュース…マサチューセッツローウェル大学での動物実験で、マウスの飲料水の中に濃縮リンゴジュースを加えて飼育すると、栄養が不足したエサを食べてもアセチルコリンのレベルを維持し、脳の酸化ダメージを防いで記憶力がアップすることが判明しました。
・精油(アロマ)の香り…脳内のアセチルコリン生成をスムーズにします。
スパニッシュセージ、ティートゥリー、シトラス、スイートオレンジなどモノテルペン系精油が効果あり。
・アロママッサージ…フランキンセンスやローズマリーの精油を希釈して肌につけると、アセチルコリンを分解する酵素の増加を阻止して表皮のアセチルコリンが増加するそうです。
セロトニン
セロトニンは過剰な興奮を抑え、抑うつ感を軽減してくれる神経伝達物質。
伝達物質としては興奮系に分類されるけど、行動に対しては抑制的に働きます。興奮と抑制のバランスを保つ働きをし、不足すると抑うつや睡眠障害を生じます。
「気分が落ち込む」、「イライラする」、「ネガティブ思考に陥る」といった心の不調は、このセロトニン欠乏が大きな原因となっていることが多いと言われています。
また、日中のセロトニンは夜間にメラトニンに変換されます。このメラトニンはビタミンEの2倍の活性酸素を処理すします。メラトニンが活躍すれば背筋も伸び、顔のたるみも防ぐのでアンチエイジングの要とも言える成分です。
セロトニンが不足すると、このメラトニンも不足してくるので見た目も老け顔まっしぐら。気分がふさぎこんでいるのに鏡を見てさらに落ち込むという悪のスパイラルにはまってしまいます。
【セロトニンを増やす食品】
(セロトニンの原料=アミノ酸のトリプトファン、ビタミンD)
トリプトファンの多い食べ物…かつお、マグロ、赤みの肉、豆腐、大豆など
ビタミンDの多い食べ物…あんこうの肝、鮭、かれい、うなぎ、さんま、バナナなど
GABA
γーアミノ酪酸(Gamma Amino Butyric Acid)
GABAはノルアドレナリンやドーパミンなどの興奮が過剰に伝わらないようにする抑制系の神経伝達物質です。
脳への酸素供給量を増加させることで認知症予防にもなり、記憶力、学習能力増強作用も。抗不安作用もあり、不安やストレスを感じたときにリラックスさせる役割もあります。
米ぬかなど食品の中にも含まれますが、外から取り込んでも脳にまでいかないためムダだという説が以前はありました。しかしGABAを摂取すると血圧やコレステロールが下がったり、不安感がなくなるなどの確かな変化が確認されています。脳に直接いかなくても、腸管に作用して脳中枢に行く迷走神経系を刺激することで、リラックス効果をもたらしているのではないかと言われています。
リラックスできる上に、認知症予防になるという、ひとつで二度おいしい成分ですね。
【GABAを増やす食品】
発芽玄米(←含有量ではダントツ)、紅麹、茶、野菜類、果物類
ギャバのサプリメント、チョコレート
ご参考になれば幸いです。
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