腰痛といっても、腰回りの筋肉の疲労、骨や内臓の疾患、ストレスをはじめとする心因性の問題など、原因はさまざま。複数の要因が絡み合っていることも多く、原因の特定は困難です。
- 背中や腰の鈍痛はある
- 足にしびれや痛みはない
- 安静にしていれば治る
このレベルの場合は、長時間にわたる前屈みの姿勢や運動不足から、周辺の筋肉がこわばって痛みが生じていると考えられます。
上記の3つすべてが当てはまる方の腰痛(比較的軽度の慢性腰痛)を緩和するためのセルフケア、また、腰痛に隠れる別の病気について解説いたします。
(参考:日経BP「日経ヘルス プルミエ編 女性ホルモンを味方にする本」)
私自身、常に軽く腰痛です。特に冬場は辛くなります。
ここ数年は、気功を始めたおかげか「ぎっくり腰」のような過激な腰痛には至らないものの、ちょっと仕事がハードにたてこむと背中や腰に鈍痛が。
そんなとき1.の方法でベッドに仰向けになると、一時的ですが楽になりました。
1.は、取り急ぎ楽になりたいときの方法、
2.と3.は、長く続けて筋力を回復させて腰痛を改善する方法
として、状況に応じて参考になさってください。
1. 膝枕で大腰筋を休める
大腰筋とは、骨盤と大腿骨を結ぶ筋肉で、あらゆる足腰の動作に関わっているため、いつも緊張していて疲労しやすい場所です。ここを休ませると楽になります。
(画像引用:All About ビューティー)
<方法>
座布団やタオルを直径15〜25cmに硬く丸め、膝の下に入れ、かかとがつく高さに調節します。
朝起きた直後や、ちょっとした休憩時に。
※寝るときは、寝返りを打つ必要があるためやらないようにしてください。
こうすると、膝から股にかけての力が自然に抜け、大腰筋が緩みます。
腰まわりが楽になり、たまった疲れが解消し、痛みも和らぎます。
腰が痛いとつい腰ばかりに目が行きますが、実は腰の下、太もも(大腰筋)が大事という盲点。私の場合、冬場はこの場所に温めたカイロを置きます。腰そのものを温めるより楽になります。
ただしこの方法は、取り急ぎ今ある痛みを和らげる方法。
腰痛になってしまう体の弱さを根底から治していかなければ、何度も繰り返します。
体の弱さとは、筋肉の衰えと体の歪み。これを治す方法が、2と3です。
2. ピラティスでインナーマッスルを鍛える
ピラティスは、第一次大戦中に負傷した兵士たちのリハビリのために、ドイツ人のジョセフ・ピラティスが考案したエクササイズ。
ベッドの上などで寝ながらでも行え、体のバランスを整えて深くゆっくりと呼吸することで、痛みやストレスから解放されるように作られています。
リハビリとしてスタートしたピラティスは、骨盤や背骨を支えるコアの筋肉をきたえ、アディポネクチン(代謝活性ホルモン)を増やし、疲労で硬くなった筋肉に酸素を送ってコリをほぐしたり痛みを改善してくれます。
例)スパイン・ストレッチ・フォワード
- 両足を腰幅に開いて前に伸ばして座る。
- 両腕を肩の高さまであげて指先までまっすぐ前に伸ばす。
- 息を吸いながら背骨を伸ばす。
- 息を吐きながら背骨を前に倒す。このとく、両腕は床と平行を保つ。首が前に出たり、猫背になったりしないように注意。
これを10回繰り返します。
(画像引用:Let’sピラティス ←基礎的なピラティスの動作がたくさん掲載されており、大変参考になります。)
3. 体に負荷のかかりにくい姿勢で座る
背もたれに寄りかからずに背筋と腹筋を使って伸ばして座ります。
座面と接する太ももやお尻の筋肉も鍛える気持ちで、「小さく座る」のがコツ。
あごは引いて首が前傾しないように注意。
だらんと座ったり猫背な姿勢は腰痛を悪化させます。
治らない腰痛〜腰痛に隠れる怖い病気とは?
・月経過多、月経痛など女性特有の症状を伴っている場合
→子宮筋腫など婦人科系疾患による腰痛の可能性もあります。
婦人科へ相談を。
・安静にしていてもしつこく痛んだり発熱を伴ったりする
→すい臓や腎臓などの内臓に疾患が隠れている場合もあります。
まずは整形外科を受診し、異常がなければ内科へ。
・足にしびれを感じる。排尿・排便がしにくい
→椎間板ヘルニアや脊椎圧迫骨折の恐れがあります。
すぐに整形外科や脊髄外科を受診しましょう。
更年期世代に多い「坐骨神経痛」とは、腰から脚の後ろ側にかけての痛みやしびれ感を指す症状の呼び名で、病名ではありません。
坐骨神経痛を起こすもとになる病気は、椎間板ヘルニアや腰椎脊柱管狭窄症などが代表的ですが、ほかにも考えられるので、異常を感じたら整形外科や脊髄外科で診断を。
骨折が原因の腰痛も
更年期以降は、骨密度の低下に伴う「脊椎圧迫骨折」による腰痛も多いそうです。
痛みには特徴があり、寝ている姿勢から起き上がろうとする瞬間に鋭い痛みが生じ、一旦立ち上がればあまり痛くなく、歩行もなんとか可能。
そのため、「体動時腰痛」ともいわれます。
この体動時腰痛が骨粗鬆症のある人に生じればX線検査で骨折が明らかでなくても、骨折を考えた方がよいと言われています。
骨粗鬆症が年々増加している昨今、医療機関では「40代後半は年に一度の骨密度チェックを」と呼びかけています。
たかが腰痛、されど腰痛。
腰が痛いときは、どこかに負担がかかっている証拠です。
歳だからと軽く見ずに、休ませたり鍛えたりしてケアすることが大事です。
また、痛みだけでなくしびれや発熱、生理痛などが同時に起こっている場合は、骨や筋肉以外のトラブルが考えられますので、早めに受診するようにしましょう。
ご参考になれば幸いです。
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