めまいの専門医・新井基洋先生のメソッド
あえて積極的に動かして治していこうという、画期的な方法をご紹介します。テレビでも何度か取り上げられているのでご存知の方も多いかもしれません。
めまいの対処法は、
○ 安静にする
○ ビタミンB群をしっかりとる
○ カフェインや香辛料を控える
○ 病院で薬をもらう
といった方法が一般的ですが、新井先生は「めまいは寝ていても治らない!」と言い、トレーニングでめまいが起らない体質を作り上げていくメソッドを確立されました。この方法で数多くの患者さんを回復に導いています。
私は以前、「良性発作性頭位めまい症」と診断され、耳鼻科で点鼻薬と飲み薬をもらって治した経験があります。原因は疲労とストレスだと言われました。45歳くらいのことです。
そのときは薬がよく効いて1週間ほどで楽になりましたが、その後もちょっとハードな仕事が続いて生活が不規則になると軽く発作的にぐるんぐるんと来ることがあります。
生活に支障があるほどではないのですが、若いころよりも頻繁にめまいが起こるようになっているのはたしか。
予防したいと思っていたところ、
「20万人のめまい患者さんを救った脅威のリハビリ体操」の本を見つけたので、仕事の合間や寝る前に行うようにしました。
それが功を奏してか、ふと気がつくとめまいが起こることはほとんどなくなりました。
重度のめまいの方もこのリハビリが効果的とのことなのでご紹介したいと思います。
《出典》めまいは自宅で治せる (らくらく健康シリーズ)
↑コンパクトながらお悩みに明快に答えてくれている秀逸な一冊です。心構えや症例、Q&Aなど、とても具体的で役に立つ情報満載。
今回の記事では、本の中のごく一部、リハビリのやり方に関しての部分(p71〜98)のみを簡略化してお伝えしますが、ぜひ本を手にとって他の内容もご覧いただきたいと思います。
積極的に動かして小脳を訓練する
◎リハビリの原理
めまいは、どちらかの耳の前庭器に障害が起こり、前庭器の中の三半規管の平衡機能に左右差が生じることで起こります。
この平衡機能の左右差を元に戻すのが「7つのリハビリ体操」です。
リハビリ体操を続けると、小脳を中心として三半規管の異常がある側をカバーする平衡感覚の新たな神経ネットワークが構築されていきます。
これはフィギュアスケート選手が高速回転してもふらつかない原理と同じとのこと。
フィギュアスケート選手は練習を繰り返すことで「小脳」という脳の一部に倒れない感覚を学習させているそうです。
同じように、私たちも訓練すれば小脳はめまいを起こさない感覚が身に付くというわけです。
◎7つのリハビリ動作
① 速い横
「前へならえ」のときよりも両腕をやや広げて肩の高さまで上げて肘を伸ばし、両手の親指を上に。頭は動かさず、目だけを動かして左右の親指の爪を交互に見る。
② ゆっくり横
右腕だけを肩の高さまで上げて前方に向けて肘を伸ばし、親指を上に。左手の人さし指であごを押さえ、右手を左右にゆっくり30度くらい動かす。頭は動かさず、目で親指の爪を追う。
③ 振り返る
右腕を②と同じようにした上で、親指の爪から目を離さず、頭を左右に30度くらい動かす。
④ 上下
右腕を②より少し高いところまで上げ、親指を左側に倒す。親指の爪から目を離さず、頭を上下に30度くらい動かす。
※①~④はイチ、ニ、サンと声を出しながら20回繰り返す。
⑤ 50歩足踏み
目を閉じて両手を①のように肩の高さまで上げ、50回足踏み。
(イラスト・文/書籍p85より転載)
⑥ 片足立ち
壁などに手を添えて支えにしながら、30秒間、目を開けて片方の足を直角に上げる。左右それぞれ3回ずつ。
⑦ 寝返り
あおむけになり、顔だけ右に向けて10秒間→体を右に向けて10秒間→あおむけで10秒間→顔だけ左に向けて10秒間→体を左に向けて10秒間→あおむけ。これを3回1セットで1日3セット行う。
余裕があれば7つのリハビリすべてを行うにこしたことはないのですが、種類が多すぎて難しいようでしたら「原因疾患別おすすめめまいリハビリ」を参考に、特に重点を置くべき3つのリハビリだけでも良いそうです。
その3種目を中心に、毎日2回ずつリハビリに取り組みましょう。
リハビリ体操は、めまいがある時に行うのはつらく、一時的に症状がぶり返すこともあります。
しかし、諦めずに続けて欲しい。めまいは寝ているだけでは治りません。患者さんには『体操をする前に“私はめまいを治す! 私はめまいに負けない!”と魔法の言葉を自分にかけてください』と指導しています(新井医師)
日刊ゲンダイヘルスケア より
「めまいは寝ていても治らない!」
↑この言葉は衝撃的・・・。
慣れるまでがちょっとしんどいですが、必ず治ると信じて続けることが大事だそうです。
心が折れないように、また成果を実感するためにも、5日分の「めまいリハビリ記録表」(同著 p98)もぜひご活用ください。
薬での治療には限界がある
このリハビリ体操を生み出した新井基洋先生は、本の冒頭で次のように述べられています。
めまいは薬物治療が中心で、リハビリを実施している医師はまだまだ少ないのが現状です。
リハビリ単独では保険点数として認められず、診療報酬につながらないことが、リハビリが広まらない要因の一つでしょう。(中略)
もちろん薬も必要で大切な治療ですが、薬のみだとやはり限界を感じてしまうのです。
薬を飲んで安静に・・・これが基本だと思っていたので、ちょっと驚きました。
著者新井先生の横浜みなと赤十字病院耳鼻咽喉科では、19年間で入院治療患者が9000人。外来患者は20万人以上、その大半がこのリハビリで症状を改善しているといいます。
ここでは集団でのリハビリを行っているそうですが、個人でやるよりも集団の方が効果が高いともおっしゃっています。
同じような症状の人たちと気持ちを共有し、精神面から回復を促しているのでしょう。
健康の中心はやはり「気」なんだなと思いました。
症状が快方へ向かいますように心から願っております。
【参考サイト】
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