「それって更年期じゃない?ww」
40代50代でちょっと調子が悪いとすぐに出てくるこのフレーズ。
実際そうであることも多いのですが、生理現象のひとつのように軽く語られてしまうがために重大な病気の発見を遅らせてしまうことがあります。
更年期の不調の陰に潜む病気の見分け方・診療してもらえる病院についてご説明します。
(参考文献:日経BP「日経ヘルス プルミエ編 女性ホルモンを味方にする本」2009)
病気発見フローチャート
お腹の張り・しこり/不正出血
↓ YES ↓ NO (Q3へ飛びます)
↓
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経血量が急に増えた/貧血気味
↓ YES ↓ NO (子宮・卵巣のがんの疑い)
↓
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しかし40代ともなるとこうした症状を自覚していても「更年期が近いから」と放置してしまう人も少なくないようですが、筋腫が多く見つかるのも40代です。
筋腫が大きくなってもほとんど症状がない人もいれば、小さな筋腫でも貧血や不正出血、月経痛といった症状が重く出る人もいます。定期的な診察で様子を見る場合もありますが、治療の基本は手術で筋腫を取り除くこと。
症状がなくても筋腫が大きくなるようなら、ほかの臓器などへの影響も考えられるので、治療が必要です。お腹が張ったり、引き下がるような違和感、腰痛や腹痛といった症状が強い場合は、消化器や泌尿器の病気も考えられますので、診察で見極めてもらうことが先決です。【更年期障害と似ているところ】
疲労や倦怠感/腰の痛み/トイレが近い
【更年期障害と違うところ】
月経痛/経血量の増加/下腹部の張り、しこり
【相談すべき診療科】
・婦人科 ・女性外来
でも、次のような症状が出ていたら要注意です。
・おりものの悪臭
・下腹部の痛み
これらは子宮ガンの兆候です。
特に閉経後に出血がある場合、婦人科ではまず子宮体がんを疑うそうです。 (子宮ガンの中でも子宮内膜にできる子宮体ガンは、閉経後に急増する)
子宮の入り口部分、子宮頸部にできる子宮頸がんは30代に発症のピークを迎えますが、40代以降に見つかるケースも少なくありません。子宮頸がん初期では症状が出にくいのも特徴です。
卵巣がんは「サイレント・キャンサー」とも呼ばれ、かなり進行するまで症状が出ないことで有名です。ウエストがきつくなる、下腹部が膨らんできたといった変化が特徴です。
【更年期障害と似ているところ】
子宮頸がん…無症状のこともある 子宮体がん…不正出血 卵巣がん…疲労や倦怠感
【更年期障害と違うところ】
おりものの悪臭/下腹部の痛み/性交後の出血
【相談すべき診療科】
・婦人科
↓ YES ↓ NO (Q4へ飛びます)
↓
↓
首にある背骨の一部「頚椎(けいつい)」は、「椎骨(ついこつ)」と呼ぶ骨が積み重なってできています。この部分が変形することで痛みやしびれを引き起こします。 代表的な症状は以下の2つ。
変形性頚椎症
椎骨が変形してトゲのようになったり、椎骨とのあいだにある椎間板が変形し、神経を圧迫する
椎間板ヘルニア
椎間板の中身(髄核)が飛び出して神経を圧迫する
どちらも主な症状は、手や腕、胸、肩のしびれや重苦しい痛み、張った感じ、手のこわばり、頭痛など。
ところが「年のせいで肩こりや頭痛がひどくなっただけ」と、我慢している人も少なくないようです。
頚椎からは左右8対の神経が出ており、それぞれ支配している体の部位が異なります。したがって圧迫されている神経によって、症状の出る場所が一定しているのが特徴です。
いつも決まったところが痛むとか、痛みで朝目が覚めるようであれば、頚椎症やヘルニアの可能性が考えられます。
【更年期障害と似ているところ】
肩こり・背中の痛み・指のこわばり・頭痛・手や腕のしびれ
【更年期障害と違うところ】
「痛む」「しびれる」部分が言一定 左右どちらかの頭痛(特に首の付け根から耳の後ろにかけて) 就寝中に痛みで目がさめる
【相談すべき診療科】
・脊髄外科 ・脳神経外科
↓ YES ↓ NO
↓
↓
甲状腺ホルモンの病気は女性に多く、患者数は男性の約5倍という統計データもあります。
甲状腺の病気は大きく分けて二つあります。
(1)甲状腺機能亢進症…ホルモンの分泌量が多すぎる
→代表的な病気=バセドウ病
(2)甲状腺機能低下症…ホルモンの分泌量が低下する
→代表的な病気=橋本病
甲状腺ホルモンは、全身の代謝をコントロールする働きを持っています。
過剰に分泌されると、体はいつも運動しているかのような状態になり、動悸や息切れ、多汗などの症状が出ます。
逆に分泌量が低下すると、体全体の活力が失われ、疲れやすい、心が沈む、冷えやむくみ、抜け毛といった症状が出ます。
いずれの場合も直接命にかかわる病気ではありませんが、放置すると生活の質を落としてしまいます。
更年期の不調に似た症状が多く、やっかいなことに症状の出やすい年代も更年期と重なっています。特に「甲状腺機能低下症」が見過ごされやすいと専門医は指摘しています。
分泌量が多すぎることで起こる亢進症の症状=動悸早すぎたり脈がおかしいといった症状の場合は心臓を疑って病院を訪れますが、分泌量が低下した場合は自分でも「気のせい」と思ってしまったり、病院に行っても更年期障害やうつ病と診断されてしまってそのままになってしまうケースが多いとのこと。
甲状腺ホルモンの病気かどうかは血液検査でわかります。
治療方法が確立されており治りやすい病気なので、更年期障害かどうかあやしいと思った場合は、がまんせずに専門医で診察を受けましょう。 ホルモンの分泌量をコントロールする治療で割とかんたんに元気な体に戻れます。
【更年期障害と似ているところ】
・甲状腺機能亢進症…ほてり、イライラ、動悸、息切れ、多汗、疲労・倦怠感、不眠、集中力の低下
・甲状腺機能低下症…冷え、むくみ、物忘れ、脱毛、体重増、疲労や倦怠感、不眠、眠気
【更年期障害と違うところ】
・甲状腺機能亢進症… 食べても体重が増えない、下痢、首まわりが太くなる、目が飛び出る
・甲状腺機能低下症…脈が遅い、便秘、首まわりが太くなる
【相談すべき診療科】
・内分泌科 ・甲状腺科
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※今回の記事は、日経BPムック2009年発行「女性ホルモンを味方にする本」p111〜119を参照し、要約したものです。
<参考文献>
ご参考になれば幸いです。
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